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ChatGPT広告が日本でも開始、「お金で買える領域」と「お金では買えない領域」をどう設計するか ── 東北企業がAI時代に整えるべきこと

2026年8月11日、OpenAIはChatGPT Adsの日本での提供開始を公表しました。その後も対象地域は拡大し、8月31日時点では40カ国以上で広告が展開されています。

重要なのは、ChatGPT広告が始まっても「広告を出せばChatGPTの回答内容を変えられる」わけではないことです。
OpenAIは広告方針として「広告出稿によって回答内容が影響を受けることはない」と明言しています。つまり、AIの回答画面は「お金で買える領域」と「お金では買えない領域」に構造として分かれました。

では、東北の企業が先に着手すべきなのは広告でしょうか。それともAI検索における言及・引用・推奨される仕組みづくりのどちらでしょうか。


ChatGPT広告は、日本で何ができて、何ができないのか

実務で押さえるべき仕様は、次のとおりです。

ChatGPT広告では、検索連動型広告のように完全一致キーワードを指定して、その検索語に対して広告を出す仕組みとは異なる考え方が採られています。

広告システムは、現在の会話の文脈やユーザーの意図に加え、広告のランディングページ、広告コピー、コンテキストヒント、設定したターゲティング条件など複数のシグナルからこうこくとの関連性を判断します。

コンテキストヒントは、「この商品は誰に、どのような状況で役立つのか」を広告システムに伝えるための情報です。ただし、完全一致キーワードのような配信指定ではなく、特定の会話への広告表示を保証するものでもありません。

また、2026年9月時点では、CPMやCPCに加え、コンバージョンを意識した最適化にも対応しています。地域ターゲティングも提供されていますが、指定できる地域の粒度は国や時点によって異なるため、実際の出稿時にはAds Manager上の最新仕様を確認する必要があります。


ChatGPT広告の登場で、LLMOの役割がより明確になった

本稿ではLLMO(Large Language Model Optimization)を「生成AI上で、自社に関する正確な情報が参照・理解・言及されやすい情報環境を整える取り組み」と定義します。

広告メニューができたことが役割が薄れる、という見方があります。広告費を払えばAIのチャット欄に文脈に沿った広告が表示されるので、わざわざ投資対効果のみえづらいLLMOをやる必要性がないという声を耳にしますが、私が逆だと考えています。その理由は3つあります。

第一に、「回答本文は買えない」ことが公式で言及されているからです。これまでは「そのうち回答の中に有料で入り込めるようになるのでは」という希望的観測もありましたが、広告が実装され、同時に「回答には影響しない」と明文化されたことで、少なくとも広告費で回答本文を買うことはできなくなりました。回答内で言及されるには回答生成に有用な情報として参照・理解される必要があります。

第二に、広告ラベルの登場は、ラベルのない推奨の価値を上げます。「Sponsored」と明示された枠が隣にできた瞬間、スポンサー枠ではない回答内容は「広告費によって掲載されたものではない回答」という意味を帯びます。検索連動型広告でも似た構造はありますが、AIの回答は本文そのものが推奨として読まれるので、この差はより強く効くと見ています。

第三に、コストの性質が違います。広告は、クリックやインプレッションのたびに費用が出ていくフローの支出です。一方、AIに正しく理解されるための情報整備は、蓄積型の資産になり得ます。ただし、鮮度・整合性を維持する継続的な更新が必要です。

ただし、どちらか一方を選ぶ話ではありません。ここは誤解されやすいので、次で整理します。


ChatGPTは、「買える接点」と「築く接点」の両輪で考える

結論から言うと、ChatGPT上の企業接点は、「広告で買う接点」と「情報を整えて築く接点」の両方を考える時代になった、と私は見ています。前者はChatGPT広告によって接点をつくること。後者は、自社の情報を整備し、AIに正しく理解・参照されるための情報管理を築くことです。この2つを別々の施策としてではなく、補完し合うものとして設計することが重要になります。

前提として、消費者側の変化を示すデータが揃ってきました。日本ダイレクトマーケティング学会が2026年7月15日から16日に生成AI利用経験者1,009人へ行った調査では、AI利用者の約6割が買い物の判断に生成AIを活用し、20代では約7割にのぼりました。生成AIの信頼度(33.4%)はSNS(19.1%)を上回り、「検索エンジンで調べる回数が減った」34.2%、「Webサイトを見る時間が減った」28.6%という変化も出ています。

母数も伸びています。ICT総研の調査(2026年2月20日発表、n=2,024)では、生成AIサービス利用者は2026年末に3,553万人、2029年末には5,160万人へ拡大する見通しで、サービス別ではChatGPTの利用率36.2%が最も高い水準でした。

一方、AI経由の流入そのものは、まだ小さい水準です。DEECHが全国68社167サイトのGA4データを分析した2026年8月5日の発表では、生成AI経由の月間セッションが2025年1月の487から2026年6月の3,798へと約7.8倍に増えた一方、全トラフィック比は0.161%(うちChatGPTが76.2%)にとどまります。

これらを整理すると、実務上の含意が見えてきます。

つまり、AI経由の流入が0.161%だから影響は軽微、とは言えません。約6割が買い物の判断にAIを使っているなら、その検討はログに残らないまま進み、結果として「指名で来る/来ない」の差になって表れます。

追い打ちをかけるのが検索側の変化です。Ahrefsの分析では、AI Overviewsが表示される情報収集系キーワードにおける日本のクリック率の下落幅は、2025年12月の38.0%から2026年6月には62.7%へ拡大。検索1位の実測クリック率は9.0%(AI Overviewsがない場合の予測値は24.1%)とされています。順位を取っても、以前ほどクリックは戻ってきません。

だからこそ、両輪で考える必要があります。広告は「今すぐの接点」を、情報整備は「選ばれ続ける土台」をつくる。広告で連れてきた人の着地ページに具体的な事実がなければ、結局その先で落ちます。逆に情報が整っていても、想起されていない企業はそもそも会話に登場しません。片肺では回らない、というのが実感です。


東北の中小企業には、むしろ勝ち筋が増えた

私はChatGPT広告は地方企業にとっては追い風だと思っています。理由は、ずっと不利を背負ってきた「認知量の勝負」から、勝ち筋が一部ずれるからです。

Criteoが7カ国6,800人以上を対象に行った調査では、日本で1年以内の購買判断にAIを活用した人は41%と世界平均を下回り、エージェント型ショッピングアシスタントの認知度は7カ国中で最も低い水準でした。裏を返せば、日本ではまだ準備が間に合う局面です。

そのうえで本質的なのは次の点です。広告だと継続的な予算が重要ですが、AIに推奨されるための情報整備は、入札額だけではなく会話との関連性も競争力を左右します。つまり、規模の小さい企業でも勝てる余地が残っています。

具体的に考えてみます。例えば、宮城県の日本酒の蔵元なら「魚料理に合う辛口の日本酒を東北で探している」、東北のBtoB製造業なら「小ロットの精密板金を東北で頼めるところ」。こうした問いに対して、AIが参照できる事実(対応可能なロット、納期、設備、実績)が自社サイトに書かれているかどうかです。

抽象的な魅力の言葉より、検証可能な事実のほうがAIには届きます。企業では「アットホームな職場」ではなく「離職率5%未満」。「地域に根ざした」ではなく「創業◯年、県内◯市町村に納入実績」。こうした翻訳作業は、東京の大企業でなくてもできます。

皆さんの会社のWebサイトは、いまその状態になっているでしょうか。


ICHICOは、広告出稿と情報整備の両方を支援できます

ICHICOでは、ChatGPT広告の取り扱いを開始しました。エリア指定を使った出稿設計から、コンテキストヒント(どんな会話の場面で広告を出すか)の設計、運用までをお手伝いできます。

同時に、AI上での企業・サービスの見え方を分析し、AIに正しく推奨・引用されるための情報整備も支援しています。進め方は5段階です。

  1. 対策プロンプトの設計:ターゲットが実際にAIへ投げる問いを、属性・地域・目的・業種の掛け合わせで洗い出す
  2. 現状の可視化:ChatGPT・Gemini・AI Overviews等で、自社と競合がどう推奨・言及されているかを観測する
  3. 要因分析と課題設定:なぜ推奨されていないのか、どの情報源が参照されているのかを分析する
  4. 情報源の設計と実装:RTB(Reason To Believe:選ばれる理由)を定量的な事実に翻訳し、自社サイトと第三者メディアの双方に配置する
  5. 検証とPDCA:回答傾向・参照元・ブランド言及率・誤情報の有無を継続的に確認し、改善する

広告と情報整備を別々に進めると、伝えるメッセージがずれてしまうことがありますが、同じ設計思想で両方を組めることが、ICHICOが皆さんへ提供できる価値だと考えています。

なお、LLMO/GEOは現時点で、SEOや運用型広告ほど効果メカニズムが確立された領域ではありません。特定のAI回答への掲載や推奨を保証するものではなく、仮説検証を重ねる前提の取り組みである点は、あらかじめお伝えしています。

──まずは、どちらの層が欠けているかを見に行く
広告枠を買うべきか、情報を整えるべきか。その答えは皆さんの事業を取り巻く状況によって変わります。まず必要なのは、AIがいま自社をどう語っているかを見ることです。

その診断と設計を、東北の市場と企業・事業に即して伴走します。ChatGPT広告の出稿やAI検索最適化(LLMO)について整理したい方は、ICHICOのAI・デジタル戦略ページをご覧ください。

 

▶ ICHICO AI・デジタル戦略:https://www.ichico.co.jp/service/aidigital/

▶ プレスリリース「ICHICO、東北企業向けにAI検索最適化(LLMO)と価値創出に向けたAI業務導入支援を提供開始」:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000188208.html


出典

本コラムで紹介する各社・各氏の見解は、それぞれの出典に基づくものであり、ICHICOとの提携・推奨関係を示すものではありません。

(注)ChatGPT広告の提供状況・広告メニュー・料金体系は追加や変更が続いています。出稿を検討される際は、OpenAIの公式ヘルプおよび広告ポリシーで最新の仕様をご確認ください。


執筆:萩 雄斗(プランナー兼AI推進リーダー) 

大手広告会社でテレビCMのバイイングやメディアプランニングを担当。2025年に弊社入社後は、マーケティング全般のプランニングと社内外のAI導入や活用推進も兼務。

公開日:2026年9月10日

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