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マーケティングの4Pはもう古い?──生成AIで変わる「価値の根拠」と、東北企業が残すべきProof

Product=製品/Price=価格/Place=流通/Promotion=販促。マーケティングの4Pは、1960年にE・ジェローム・マッカーシー氏が整理したマーケティングの4Pは、60年以上たった今も実務の共通言語です。

ただ、この4つが噛み合わない場面が増えました。もう古いのではないか、という声も聞きます。私の見解では、古くなったのは4Pではなく、4つのPを設計するときの「価値の根拠」だと考えています。生成AIによって、文章、画像、企画案、提案資料など、一定水準のアウトプットを短時間で生み出せる範囲が急速に広がりました。すると、「作れるようになったこと」や「速く作れること」だけでは以前より差別化しにくくなります。

では、その先で何が企業の価値を支えるのでしょうか。

私が重要になると考えているのが、「なぜこの会社が選ばれてきたのか」を第三者が確認できる形で残すことです。この記事では、それを便宜上、5つ目のP=「Proof(証明、根拠)」と呼びます。Proofは、4Pに新たな要素を付け足す「5つ目のP」ではありません。Product、Price、Place、Promotionそれぞれについて、「なぜその価値を信じられるのか」「なぜこの会社を選ぶのか」を裏づける、4Pを横断する『選ばれる理由の証拠』として捉えています。


Upworkのライティング案件は、2025年に前年比32%減少した

4Pの中身を考える前に、まず生成AIの普及と同時期に仕事で起きている変化を見てみます。

フリーランス市場を分析するVollnaがフリーランス人材・仕事のマーケットプレイスであるUpworkの220万件以上の案件を分析したところ、2025年のライティング案件は前年比32%減少し、主要カテゴリーの中で最も大きく落ち込みました。この32%減少を、すべて生成AIの影響によるものと断定することはできません。これはVollnaによる独自分析でもあり、生成AIと案件減少の因果関係を直接示した調査ではありません。

一方、Upwork自身が公表した2024年のデータでは、AI関連業務に従事したフリーランサーの時間当たり報酬は、非AI関連業務より44%高い水準でした。こちらも、先ほどの2025年のライティング案件数とは対象期間も指標も異なるため、単純に比較することはできません。

それでも、この2つの数字を並べると、私は一つの変化に注目しています。

生成AIによって仕事の価値が一律に下がっているのではなく、「どの仕事に希少性があるのか」が変わり始めているのではないか、ということです。文章を生成する、情報を整理する、デザイン案を大量に出す。こうした一定水準のアウトプットを生み出すためのハードルは、生成AIによって確実に下がっています。一方で、AIを使って何を判断するのか。どの課題を解くのか。専門知識をどう掛け合わせるのか。そして、なぜその人や企業に任せるのか。

こうした領域まで、同じようにコモディティ化するとは限りません。

作ることそのものから、判断すること、意味づけること、そして「この人・この会社に任せたい」と思われることへ。価値がなくなるのではなく、価値を生む希少性の置かれる場所が変わっていく。

私は、この変化が重要だと見ています。


4Pは崩れない。「何を根拠に設計するか」が変わる

4PそれぞれをAI時代に当てはめると、私は次のように整理しています。

4Pの「差のつくポイント」は、こう変わる

4Pそのものが古くなったのではなく、AI時代において「何を根拠に設計するか」が変わっています。

4P これまで差になりやすかったもの AI時代に、より重要になるもの
Product
製品
作れること、
一定以上の品質
→ 顧客課題の定義、独自ノウハウ、品質保証、何を作らないかという判断
Price
価格
工数・原価の積み上げ → 顧客が生む価値、成果、リスク負担、継続的に選ばれてきた根拠
Place
流通
店舗、販路、物流、
検索順位
→ 既存流通に加え、検索・SNS・生成AIなど「情報上の見つけられ方」
Promotion
販促
コンテンツ制作力、
発信量
→ 誰に何を伝えるかという文脈と、主張を裏づける第三者性のある根拠

 

4Pを横断するのが「Proof」です。

ただし、私はProofをマーケティング理論上の「5つ目のP」として提唱したいわけではありません。既存の4Pに、新しいPを足すというより、4Pすべてを成立させるための「選ばれる理由の証拠」という補助線として捉えています。

ブランド戦略でいうRTB(Reason to Believe=その価値を信じられる理由)を、顧客だけでなく、検索エンジンや生成AIからも確認できる情報資産に変えていく、と考えると近いかもしれません。

よくある「地域密着です」「品質には自信があります」「お客様に寄り添います」だけでは、Proofにはなりません。誰に、何と比較され、何が決め手になったのか。どれだけ選ばれ続けているのか。さらに、品質データ、認証、導入・販売実績、継続率、顧客評価、第三者機関による評価など、その主張を外部から確認できる事実があるか。

こうした「選ばれる理由」と、それを裏づける「検証可能な事実」の組み合わせが、企業の価値を支えるProofになります。


東北企業が積み重ねてきた「時間」は、言語化して初めてブランド資産になる

帝国データバンク仙台支店の2026年3月調査では、東北6県の企業の30.1%が生成AIを業務で活用し、そのうち85.8%が効果を実感しています。東北でもAIはすでに一部の先進企業だけのものではなくなりつつあります。

その一方で、私たちが東北の企業と向き合うなかで感じるのは、長年蓄積してきた価値ほど、外から見えないことが多いということです。

 

業種ごとに異なる、選ばれる理由の「Proof」

東北の企業には、これまでの事業の中で積み重ねてきた独自の価値があります。
それは、適切に言語化することで「選ばれる理由(Proof)」になります。

業種 Proofになり得る情報
F
食品・水産・醸造
原料の産地、契約生産者との年数、品質基準、製法を守ってきた履歴
M
製造業
不良率、納期遵守率、認証、OEM継続年数、難易度の高い案件への対応実績
T
観光・宿泊
リピート率、再訪理由、顧客レビューに共通する評価、地域との関係
C
建設・設備
継続取引年数、緊急対応実績、保守履歴、元請・顧客から選ばれる理由

 

20年間続いた取引を、AIに20年分生成させることはできません。しかし、その20年が社長や営業担当者の頭の中にしかなければ、顧客にも、求職者にも、検索エンジンにも、生成AIにも見えません。

企業が積み重ねてきた「時間」を、参照できる情報へ変換する。

私は、ここに地域企業のブランド戦略と生成AI活用が接続する余地があると考えています。

 


 

ICHICOはProofを「見つける→構造化→実装→届ける」まで一気通貫で支援できる

 

Proofは、単に生成AIに会社案内を読ませれば作れるものではありません。存在しない実績をAIに作らせてはいけないからです。必要なのは、まず顧客や求職者、取引先の声やデータから「なぜ選ばれてきたのか」を発見することにあります。

ICHICOは、マーケティング活動支援からAI・デジタル、メディア、PR、クリエイティブまでを横断して提供しています。だからこそ、調査レポートを作って終わるのではなく、発見した企業価値を、実際に「選ばれる仕組み」へ変えるところまで設計することが重要だと考えています。

 

ICHICOの支援プロセス

「選ばれる理由(Proof)」を見つけ、伝わる価値に変え、社会に届けるまでを一気通貫で支援します。

フェーズ ICHICOが担うこと

1

Discover
発見する
市場調査、顧客インタビュー、競合分析、
実績・データの棚卸しから
「選ばれる理由」と根拠を発見する

Discover

2

Structure
構造化する
顧客インサイト、提供価値を整理し、
「選ばれる理由」とそれを裏付ける
RTB・Proofとして構造化する

Structure

3

Activate
実装する
ブランドメッセージ、価値説明、営業資料、
採用、広告・クリエイティブへ実装する

Activate

4

Distribute
届ける
Web、PR、メディア、SNS、LLMOなどを通じて
外部から参照可能にし、効果を検証する

Distribute

 

そこから、AI時代のマーケティングを考え始めてもよいのではないでしょうか。

 

▶ ICHICO AI・デジタル戦略:https://www.ichico.co.jp/service/aidigital/

▶ プレスリリース「ICHICO、東北企業向けにAI検索最適化(LLMO)と価値創出に向けたAI業務導入支援を提供開始」:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000188208.html

 


 

出典

 

本コラムで紹介する各社・各氏の見解は、それぞれの出典に基づくものであり、ICHICOとの提携・推奨関係を示すものではありません。

 


 

執筆:萩 雄斗(プランナー兼AI推進リーダー)

大手広告会社でテレビCMのバイイングやメディアプランニングを担当。2025年に弊社入社後は、マーケティング全般のプランニングと社内外のAI導入や活用推進も兼務。

公開日:2026年10月9日

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